中華そば 千乃鶏
店と飯
「ラーメンが1250円…」
と、券売機の前でフリーズしたのは自分の感覚が古いからだ。昭和60年代のラーメンの値段が体に刷り込まれている。刷り込まれるほどラーメンを食べられる身分ではなかったはずだが。三つ子の魂百までとはこういう事だろう。
最初に断っておくが、ラーメンはうまい。1250円の味がちゃんとする。
塩ラーメンはしょっぱすぎず、ほのかな塩味と出汁のうま味が良くあっている。チャーシューは大きいだけではなく分厚い。半熟卵も手抜きなし。ワンタンにくるまれた肉もまたうまい。そして量はたっぷりだ。麺も硬すぎず柔らかすぎず、惜しく食べることができる。
食べ物に注文があるとしたら、一つ一つの大きさだろう。チャーシューが大きいのは結構だが、食べやすいサイズに切っておいてくれれば、と思った。見た目はともかく食べにくい。この辺の「上品さから遠い」食べ物という位置付けはどのラーメン屋も一杯350円のレベルから抜け出せていない気がする。これを減点とするのは少し酷ではあるので減点対象ではない。
気になったのは店の方だ。不衛生だ!という事は無い。店内は小ぎれいだしカウンターに仕切りもある。店員が不愛想だ!という事もない。ちゃんとした接客だった。
声が聞こえにくいのだ。私だけではなく、隣の席の客も身を乗り出して聞き直していた。
「それは店員の問題だろう」
とは思わない。諸悪の根源は店内スピーカーにある。食券販売機の上にスピーカーがあって、洋楽を大音量で鳴らしている。なので、食券を買った後にカウンターから声をかけられても聞こえない。カウンターに座って説明を聞かされても聞き取れない。
味で勝負している店なら、テレビもBGMはいらないよ。
お勧め度
★★★☆☆
さっぱりとうま味のバランスが絶妙。暑い日にも食べたい。